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トランジスタの飽和領域・活性領域ってなんだろう

きみたち、そんなに考え込んでなにしてるのかね。
あ、博士。いや実は私たちいつも通学途中に踏切を通るでしょ?んで、カンカンって鳴ってランプが付く仕掛けってどうやってるんだろ、って思ったの。それでくまきちに話してみたのよ。

それを言うなら踏切の50メートル先にある信号機も同じことだよね。もちろんどこかのセンターで指令を出しているんだろうけど、端末としての信号機とか、踏切って何かがセンターから送られてきて駆動してるんだよね?誤動作しない仕掛けも必要化もしれないけど、単純に言うと5Vか24Vか何かの電圧がかかったら大きな負荷であるランプとか踏切のバーなどを駆動してるんだよね?
そうなのよね。強力なパワーを持った信号を司令室から送るわけじゃなくて、小さい信号を送って、その場で大きい力を駆動する回路をONするんじゃないかしら。
そのとおり。トランジスタのスイッチング機能を用いてるんじゃよ。


あ、学校で習ったわ。そのトランジスタで大電流を流すってことなのよね?でも、トランジスタって増幅するものっていうイメージばっかりだったし、トランジスタがどうやって大きい電流を流せるようになるかがいまいち分かっていないと思う。

ああ、飽和領域とか活性領域とかいう言葉を習ったことがないかい?

全然(キッパリ)。

…ははは。じゃあしょうがない。一度、トランジスタの特性を表すグラフに立ち返って、飽和領域、活性領域についておさらいしておこう。遮断領域もあるから、それら3種がどのような特性を持つか整理することから始めようか。


(上図は授業中のスクリーンショットです)
ああ、それか。なかなか覚えられないのよね~。
もっと原理に立ち返って、半導体内部のキャリアの動きについてみていくと関連付けて覚えられるようになるよ。フェルミ準位の理解を踏まえて、バイアスが無いときとあるときに分けて、キャリアがどう動かされるか見ていくことによって理解を深くしていこう。数式を用いた説明はないが、感覚的な理解がまず必要な段階の君たちにはちょうどいいと思う。


(上図は授業中のスクリーンショットです)
飽和してないただのnpn接続をまず理解することから始めないといけないわね。ただのnpn接続の場合は、この点線の部分が一直線でつながっているところがミソなのかしら?
そうだね、フェルミ準位というやつじゃ。そこの準位では、座席の数に電子が詰まっている確立が50%になるところとして定義されているよ。もし、バイアスの電圧を何もかけていないのにフェルミ準位に差があったら、レベルの低いほうに電子が流れて座席を埋めていくから、結局フェルミ準位はどこでも同じレベルになる、というわけじゃね。
ではクイズじゃ。このエネルギー準位の図を見て、飽和しているときはどういう図になるか予想できるかな?
バイアス電圧が掛けられたら、2番目の絵の活性領域ではnpnのpの領域がまず全体的に下がったような形になってるね。
うむ、そうじゃ。pの領域で(ベース領域にて)エミッタよりフェルミ準位が下がっている、ということは、正の電圧がベースにかけられているということじゃね。電子がエミッタからベースに流れやすくなってきているということじゃ。
2番目の活性領域がすんなり理解できたら、飽和領域はあともう一息じゃよ。答えは授業で扱う。
さらに、このトランジスタの飽和領域の動作を、回路で説明するためにEbers-Mollのモデルを取り上げる。数式を用いてトランジスタを理解し、そして設計に生かすことができるようになるよ。

(上図は授業中のスクリーンショットです)
上の図はEbers-Mollのモデルではなくて、普通のトランジスタの活性領域をモデル化したものじゃ。それを組み合わせることによってEbers-Mollのモデルになる。詳しくは本ムービーをみてほしい。





リレーの駆動回路をつくってみよう

実際にトランジスタを用いて何かを駆動したいときには、Ebers-Mollの式を用いたりして設計することになるのかしら?。
ははは。それは必要ないよ。駆動したいモノにどれだけの電流を流したいかを決めてから、トランジスタのデータシートを見て、回路に必要なものを決めていけばよい。

(上図は授業中のスクリーンショットです)
具体的にはどのくらいのIcを流せばよいか、ということだね。駆動したいモノに必要な電流を調べてから、トランジスタのデータシートでどのくらいのベース電流Ibを流せばよいかを見ていけばよいことになる。詳しくはムービーを見て欲しい。

(上図は授業中のスクリーンショットです)
それだけ決めればあとはもう大丈夫なの?
きっとまだよね。ベース電流を流す回路を作らないといけないから。電圧源に対してどのくらいの抵抗を接続すればよいかが決まらないといけないわね。

そのとおり。

還流ダイオードについて理解をバッチリにしよう

ついでじゃが、リレーを駆動させるときに、還流ダイオードというものを取り付けることが通常じゃ。トランジスタの動作とは直接は関係ないが、スイッチング回路には付き物。なぜ取り付ける必要があるのか、それも学習できるから、ぜひ覚えておこう。
あ、知ってる。たしか、リレーってコイルで出来ているから、大きい電圧が発生する、とかそういうことでしょ?でも、いつも逆向きに電圧を書いちゃってテストでバツを食らっちゃうのよね~。なにがいけないのかしら。

あ、それボクも苦手(笑)還流ダイオードをつければ安心、というだけでなく、ぜひこの機会にしっかりと理解しておこう。

(上図は授業中のスクリーンショットです)
まぁ一応途中まではフリーのムービーで楽しむことができるから、ちょっと見てみるといいじゃろう。



これで解決!トランジスタの飽和・スイッチング解説ムービー

(Windowsのみ) 所要時間:50分
バイポーラトランジスタの飽和現象はスイッチングが可能という性質を利用して非常に多岐に渡って使用されているにも関わらず、そのしくみはなかなか難しく、表面的な理解でとどまりがちです。活性領域もついでに学びながら、両者の違いを明らかにしていき、トランジスタの理解をより一層深めていきましょう。飽和の現象を電子の立場で理解するのが目標です。また、実際に機械を動作させる単純なスイッチング回路をトランジスタSC2815を用いて設計してみましょう。



本製品バージョン switching1-2.swf 2012年3月公開

途中までの無料のムービーはこちらへどうぞ。(音声があります。) 全てをご覧頂くには、ご購入いただく必要があります。