うむ、B→Aの遷移がその一つ。第一正帯(First positive system bands)と呼ばれている。これは分子から分子への遷移だから、帯スペクトルとしてかなり広い範囲で見られる。この遷移は500~800nmじゃよ。ばらばらになった窒素原子が再び再結合する際に、この遷移をたどるんじゃ。たとえば、5Σg+の軌道に入りながら窒素原子どうしが近づいていき、BΠgの中でも比較的振動成分の大きいv=11軌道に乗りかえる。そして、それがAΣu+のv=7の軌道に入ったりする。こうしてでてくる光は、580.4nmの黄色の光を発することになる。もちろんこの第一正帯の遷移は幅が広いから、赤色に光る遷移もあるぞ。
第二正帯(Second positive system bands)と呼ばれる遷移もあるよ。C→Bの遷移じゃが、今回これは、エネルギー図の中で紫色で示しておる。フランク・コンドンの原理(分からない人は、水素原子のスペクトルの巻を見てね!)により、基底状態の窒素分子は電子と衝突の結果、Cのレベルに上がることが多い。そしてそれはBのレベルへと緩和する。分子としての振動がv'=0からv"=0の遷移C→B(0,0)だと、337.1nmの光が観測される。これは紫外線じゃから見えないね。ほかには380nm(v'=0,v"=2)などが有名じゃ。(注意:v'は上の準位、v"は下の準位として使います。)
第一負帯(First negative system bands)と呼ばれるものもあるよ。これは窒素分子イオンのB→Xの遷移じゃ。391.55nm (0,0), 428nm (v',v")=(0,1) (注意:v'は上の準位、v"は下の準位として使います。)などがある。後者は青紫色の発光となり、オーロラでよく見ることができるよ。