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ベクトルポテンシャルを可視化しよう
ねぇ、ベクトルポテンシャルを授業で習ったんだけど、さっぱり分からないのよ。どうすればいいのかしら。

あ、それ僕も嫌い。だって、いかにも抽象的で、想像しにくいんだもん。
まぁまぁ。心配しないで。それはまだベクトルポテンシャルにどっぷりと浸かってないからだよ。実際に学んでみると、本質的なもので、しかも思ったよりも理解しやすいものだと分かるから。
たとえば、下の式を見てごらん。ベクトルポテンシャルと電位ポテンシャルが電界をつくるっていう式だよ。まだ皆はこの式に慣れてないかもしれないけど、これからムービーで導出するから、心配はいらない。それより、この式をじっくり考えてみよう。下の式に、ローテーションなどといった演算子が入ってるかな?


無い、、

マクスウェルの四つの方程式を覚えているかな?磁界と電界の世界をつなぐのに、今までのマクスウェルの四つの方程式では、ローテーションといった演算子を用いて表せねばならなかった。でも、これを見る限り、電界と同じ方向にベクトルポテンシャルが発生している。とっても直接的だと思わないかい?

確かにそうね。どうやってこの式を導出したかは分からないけど、この式だけを見る限り、そこまで複雑な式ではなさそうよ。むしろ簡潔。それに、よく見れば、もしこの式が第一項だけだったら、下のようにただの電場の式じゃないのかしら。

うん、てことは、いままで僕たちが慣れ親しんできた、電位の勾配をとるっていうだけの上の式では不十分だった、ってわけなんだ。時間的に変わっていくベクトルポテンシャルを考えていかないと、正確な電場Eは求められない、そう読めるね。
そうだね。第一項はどこかに素電荷がずっと存在しているような静電場に関する式じゃ。では、この第二項に関して思考を深めよう。定常的にずっと動かない素電荷が近くにない状況を考えよう。このとき V = 0 だから、grad V = 0 だね。このとき第一項がゼロとなる。このとき、両辺に素電荷を掛けてみよう。

うーむ、ちからの項が出てきたよ。なんか青色で囲った式って運動方程式みたいだね。
力学でいうと、dp/dt = F よね?つまり、運動量の変化が力を生むのよね。一方、電磁気では、ベクトルポテンシャルの変化が力を生む、って解釈できるわ。
おやおや、面白い考察だね。実際、マクスウェルは、ベクトルポテンシャルを電磁気的な運動量のようなものと位置づけたんじゃ。


じゃ、こんどは下の式を見てごらん。これはベクトルポテンシャルの醍醐味といえるほどの式なんじゃ。

えー、よく分からない。

じゃ、真空中を考えてみよう。地球と月の間の空間で成り立つベクトルポテンシャルの式、とでもしようか。荷電粒子による電流はないから、Jがゼロになるね。右辺をゼロとしてみると、、、
あ、これって波動方程式ね!

そう。これが波動方程式だ、と分からない人はちょっと今回の授業はついていけないかもしれない。

やばい、、、(汗)。

ではもう一つ最終ヒント。ラプラシアンが苦手なくまきちは、このラプラシアンの扱い方に慣れないといけないよ。君がy方向にもz方向進んでも、ベクトルポテンシャルは何も変化しない、という一次元の世界に君が住んでいると仮定してみよう。そうすると、ラプラシアンは簡単に書けるんじゃないかな。

あ、波動方程式だ!!なんだか不思議だな。。
rot, divなどの演算子を一通り学習した君なら、是非ムービーに挑戦してみよう。ベクトルポテンシャルの波動方程式まで、一気に学習できる。苦手意識も、これで解決するかもしれんぞ。分からないままいつまでもくよくよするのが一番いけない。時間の無駄はお金の無駄。ベクトルポテンシャルをマスターして、実力UPしよう!




これで解決!ベクトルポテンシャル解説ムービー

(Windowsのみ) 所要時間:90分
大学1、2年生にとって、ベクトルポテンシャルほど理解の難しいものは少ないでしょう。しかし、電磁気学を学ぶにあたって、決して避けてはとおれないもの。このムービーでは、マクスウェルの方程式から、電磁ポテンシャルを用いた表現への導出を、膨大な時間を使って行います。(下図参照)。主に数式からどのような物理現象を予想できるか、という点に重点をおきますので、絵を用いた解説というよりも、むしろ数式の隅々にまで注意しながら進めていく授業です。(rot, grad, divなどの演算子が出てきますので、ご注意。)


まずはベクトルポテンシャルというものについて視覚的なイメージを増やすことが目標です(第一章)。そのあと、みいさんと一緒に上の経路をたどりながらベクトルポテンシャルとスカラポテンシャルに関する波動方程式を導いていきましょう。(第二章)

第一章までの無料のムービーはこちらへどうぞ。(音声はありません。) 全てをご覧頂くには、ご購入いただく必要がありますが、第一章は無料で楽しめます。


クリックして早速見てみよう!
必須知識
マクスウェルの四つの方程式を一通り学習した程度の学力が必要です。

ここのページに電磁気学実力チェッククイズ全十問があるよ!ベクトルポテンシャルを学ぶ準備が出来ているか知るために、ぜひ試してみよう。
スクリーンショット 









取り上げる内容

・第一章では、ベクトルポテンシャルを可視化してみよう。そして身近な存在として認識できるようになるのが目標です。
・第二章では、マクスウェルの方程式から、電場Eに関する波動方程式を導きます。
・さらに、ベクトルポテンシャルという概念が求められるための「なぜ」について考えていきます。
・実際にベクトルポテンシャルを導入するとどんないいことが起こるかを考えていきます。
・ローレンツの条件を導入し、それによって数式の簡略化が出来ることを学びます。
・第三章では、ローレンツゲージについてさらに詳しく学びます。(クーロンゲージについては学びません。)
・第四章では、実際に数式を解きながら、どんなベクトルポテンシャルが出来るのか求めていきます。(無限長の電線がつくる定常的なベクトルポテンシャルについて勉強します。)
・第五章では、四元ベクトル表示について学びます。簡単で美しい数式にするために、丁寧に式変形をしながらなので、じっくりと考えながら進めることができます。